MEISTER TEAM
地域の魅力を支えるマイスターたち
筑後には、農林水産物や伝統工芸品をはじめ、
素晴らしい地域資源があります。
列車内でインテリアや食材などに、
多くの地域資源を使用しています。
強い意志と巧みな技術で支える人たち。
その、秘められたこだわりや想いを知ることで、
より深く味わえます。
井上らんたい漆器 井上 正信
明治時代創業で3代続いている井上らんたい漆器で、編み手として製品を作っている。先代は昭和天皇のご即位式で使用された屏風を製作した歴史をもつ。現在では数少なくなった久留米籃胎漆器の伝統の技を守りながら、展示会で全国を周り、後世への継承にも取り組んでいる。
列車の天井面には八女産の竹を使用した竹編み生地が使用されている。井上らんたい漆器が守り続けている久留米籃胎漆器の伝統的な技法を見ることができる。
漆を塗り重ねて作られる漆器。
福岡県知事指定特産工芸品・民芸品
城島瓦協同組合 渋田 良一
全盛期には120もの瓦製造者がひしめき合っていた城島地域だが、近年では瓦製造者が著しく減少。そんな中、従来の屋根瓦だけでなく、敷瓦やタイル状の瓦など屋内外の様々なシーンで利用可能な瓦づくりに挑戦しながら、伝統ある城島瓦を守り続けている。列車内の壁材として採用されたのは、渋田瓦工場の代表・渋田良一氏が創りだす新しいスタイルの城島瓦。列車デザイナーの要望に応え、城島瓦の特徴である光沢が美しいいぶし銀に加えて、赤みを帯びた素焼きのものなど、他では珍しい色彩のものを製作し、デザイン性を高めている。
※城島瓦のなかでも、屋根の端を飾る鬼瓦は、「城島鬼瓦」として福岡県知事指定特産工芸品・
民芸品に登録
大川の家具
株式会社ワンズコーポレーション(テーブル)江口堅太郎
有限会社平田椅子製作所(椅子・ソファ)古川徹至
有限会社大栄産業(別注家具)西英樹
株式会社佐藤木材(材料調達)佐藤元昭
材料の調達から製造まで列車内の家具や建具を担当した、この列車のための特別チーム。家具のまち大川で培われた職人技とチームワークで、「家に招かれたような、くつろげる空間」という車両のデザインコンセプトを体現し、列車の中とは思えないような温かみのある空間をつくりあげた。
宝島染工
藍染や草木染、墨染などといった天然染料を100%使用した伝統の染色技術で染め上げる、大木町にある染工場。天然染めならではの味わいある色と着心地のよい天然素材にこだわり、工房で一枚ずつ手染めしている。企業のOEMに加え、数年前より自社で企画、染色したアパレルブランドの展開も行っており、海外でも注目を集める。THE RAIL KITCHEN CHIKUGOでは、宝島染工で染め上げられたさまざまな柄の布を額装し車内のインテリアとして使用している。
下川織物
1948年創業、八女市にて久留米絣を製造している。最盛期には数百あったといわれる久留米絣の織元は、減少を続け、生産者の減少や後継者不足が深刻である。下川織物では未来を見据え、さまざまな柄を独自に作り、久留米絣には珍しい無地の生地も製作。伝統的なものから、チェックやストライプなどといった現代の洋服でも使えるような柄など、優に100を超えるさまざまなパターンを作り出している。
THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの車内では、下川織物で織られた久留米絣をクルーが着用する制服に使用するほか、額装し織物をインテリアとしても使用している。
クロキビスポークルーム 黒木雄平
みやま市ののどかな田園地帯にある創業46年の仕立屋で、オーダーメイドのスーツ、シャツ、靴を製作している。サイズを測って体に合わせるだけでなく、着るシーンをイメージしながらお客さまと一緒に考え細部までコーディネートし、こだわって作り上げていく。地元の工芸を後世に残すよう、久留米絣を使用したタキシードやジャケットなどにも力を入れている。THE RAIL KITCHEN CHIKUGOのシャツとベストを制作。ベストの前身頃、シャツの前立てと剣ボロの部分に久留米絣をあしらい、シャツは数種類の柄違いをつくることで遊び心を出している。
※久留米絣は、括り(くくり)技法による糸の染め分けでさまざまな柄の表現を可能にする先染め織物。国の重要無形文化財であり、経済産業大臣が指定する福岡県の伝統的工芸品。日月窯 陶芸家 福村龍太
うきは市吉井町にある日月窯の2代目。自然の素材を生かし、土を薪で焼くシンプルでごまかしが効かない技法で土と向き合う。大きな登り窯で焼く作品は、豪快かつ落ち着きがあり、近年、東京や福岡をはじめ、海外からの評価も高まっている。
THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの車内で提供する料理に使用するプレートを制作。手の込んだ工程で1枚1枚作られたこのプレートは、釉薬を使い、金属にも似た独特な質感を持ち、経年での色合いの変化が楽しめる。
広松木工株式会社
広松木工株式会社は、家具のまち大川市の家具メーカー。自然オイル仕上げなど木材の美しさを活かし、使い手によって深められる素材の経年変化による味わいを大切に、シンプルかつ機能的な、手に馴染む道具としての「家族の家具」を作り続けている。 THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの車内で提供する料理に使用するプレートを制作している。
翁明窯元
1983年、鬼丸翁明が小石原焼の窯元として開窯。小石原焼は、飛び鉋や刷毛目などといった独特の模様を持ち、日々の暮らしを彩る日常雑器の代表格として親しまれている。マットな質感や、水玉・ドット模様などの翁明窯元のオリジナリティ溢れるデザインは、現代の若い世代でも歴史のある焼き物を手に取りやすいと評判である。 THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの車内で使用しているプレートは、化粧土を塗る前に飛び鉋を施すことで、さりげない模様で伝統的な技術を垣間見ることができる。
※小石原焼は、飛び鉋や刷毛目といった模様が特徴の陶器。経済産業大臣が指定する福岡県の伝統的工芸品
ヤマチク
1963年創業、大牟田市からほど近い南関町にある。竹の有効利用として、良質な箸づくりにこだわっている。海外製の安い箸が多くなる中、国内での竹にまつわる仕事を持続可能なものにしていくため、良質な材料を仕入れて高品質な箸にし、作り手と買い手双方が納得の価格で流通させるという循環を目指す。 THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの車内で使用する箸は、八女市産の竹を使ったもの。竹の伐採から始め、長い竹を切り削って丁寧に作られた箸には、筑後の温かみを感じることができる。